犬の整体

こんにちは。
犬の整体 わんこ快福クラブ北九州の林里花です。

今回は、当院に整体を受けに来てくれたボーダーコリーの男の子、ブンちゃん(3歳)のお話を通して、愛犬の体を守るための優しいタッチの重要性をお伝えします。

◆来院のきっかけ──「なんだか足の動きが変」

ブンちゃんは毎日たくさん走り回る、エネルギッシュなワンちゃんです。
ところがある日、飼い主さんが「左後ろ脚を庇うように歩いている気がする」と気付きました。
ジャンプや方向転換は一見できているのですが、よく見ると小さなターンで脚が流れる。
痛みを訴えるわけでもなく、ドッグランでも楽しそうに遊ぶのでつい様子を見がちですが、「早めのケアが大切」と考えて当院へご相談くださったのです。

◆初検査で見つけた“わずかなズレ”

わんちゃんは人間のように「ここが痛い」と言葉では教えてくれません。
ですから当院では、

  • 歩行動画のスロー再生
  • 触診による筋肉の張り・熱感の確認
  • 関節可動域の左右差チェック
    を行い、ごく微細な変化を見逃さないようにしています。

ブンちゃんの場合は、左後肢の股関節外旋がわずかに制限され、連動する腰椎5番と仙腸関節に緊張が見られました。
「まだ大きな痛みは感じていない段階。でも放置すると代償動作が続き、腰や膝まで負担が拡がる」──そんな状態でした。

◆“強い刺激”は防御反応を起こす

ここで大切なお話を挟ませてください。
犬だけでなく、人間を含むほとんどの動物には共通する生体反応があります。

急激で強い刺激を受けると、体は危険を察知して反射的に筋肉を緊張させる。
逆に、優しく触れられたり、ゆっくり撫でられたり、リズミカルに揺らされたりすると、副交感神経が優位になり、筋肉はゆるみ、安心して身を預ける。

これは“皮膚からの情報”を脳がどう解釈するかによって起こる、原始的かつ非常に合理的な仕組みです。
私たち整体師が行うタッチは――そして飼い主さんがご自宅で行うケアも――「怖くない」「心地いい」とワンちゃんの脳が判断できる速度と圧で行うことが何より重要です。

◆施術のポイント──“ゆらす・撫でる・整える”

ブンちゃんの整体では、以下の手順でアプローチしました。

  1. 仙腸関節と腰椎の微調整
    • 深呼吸に合わせて骨盤をそっと揺らし、呼気で緊張が抜ける瞬間にごくわずかな圧を加えます。
  2. 股関節のモビライゼーション
    • 関節面に沿う回旋運動を、痛みゼロの範囲でゆっくり実施。
    • 強く伸ばさず「包み込むような牽引」がコツです。
  3. 後肢筋膜ストレッチ
    • 大腿二頭筋~腓腹筋を手のひら全体で包み、皮膚ごと優しくずらす。
    • リズムを一定に保つことで、ブンちゃんは次第に伏せてリラックス。
  4. 胸腰筋膜・前三角筋のつながり調整
    • 全身の連動を考え、前足周囲も忘れずにケア。

施術時間は約30分。途中からブンちゃんは目を細め、呼吸が深くなるサインが見られました。
終了後に歩行チェックをすると、左後肢の踏み出しがスムーズに戻り、背線の揺れが左右対称になっていました。

◆ご自宅ケア用に動画を撮影

「今日の変化を維持し、さらに良い状態を定着させるには、毎日の短いケアがカギ」
そうお伝えすると、飼い主さんは「具体的な手順を忘れそうで不安」とおっしゃいました。

そこで施術中の要点を撮影し、

  • 触れる場所の目安(骨のランドマーク)
  • 手の形・圧のかけ方
  • 1セットあたりの回数と呼吸合わせ
    をまとめた“わんこ整体ホームケア動画”を作成してお渡ししました。

再生時間は約5分。スマホでサッと復習できる長さです。
何より、施術を受けてリラックスした**“うちの子自身”が映っている**ので、飼い主さんは真似しやすいと好評をいただいています。

◆なぜ今、優しいタッチなのか?

改めて言います。
強い刺激は防御反応を招き、筋肉をかえって硬くさせる──これは動物行動学や脳神経科学の分野でも広く知られる事実です。

特にボーダーコリーのような敏捷で感受性の高い犬種は、

  • 大きな音
  • 急な抱き上げ
  • 雑なブラッシング
    などで緊張しやすい傾向があります。

しかし、

  • ゆっくり呼吸を合わせて撫でる
  • 一定のリズムで骨盤を揺らす
  • 関節を“抜く”方向へそっと牽引する
    といったタッチは、副交感神経を刺激し、心身ともに「大丈夫だ」と感じさせます。

これは人間のリハビリベビーケアにも応用される、“生きものすべてに共通する安心のサイン”です。
だから当院では「まずリラックス」「そのうえで調整」という順序を徹底しています。

◆早めの気づきが未来の健康を守る

犬は痛みを隠す動物です。
「いつもより遊びのキレが悪い」「階段を上るスピードが落ちた」
それだけで来院くださる飼い主さんはまだ少数派ですが、実は最も大切なタイミングでもあります。

ブンちゃんのケースも“様子見”で数ヶ月経っていたら、膝や腰に二次的トラブルが発生していたかもしれません。
わずかな違和感で来ていただけたことで、1~2回の整体とホームケアでほぼ改善が見込めています。

◆まとめ──優しいタッチで「ずっと元気」を

  • 急な刺激は体を守るための緊張を生む
  • ゆっくり撫でる・揺らすは安心スイッチを入れる
  • 動画で復習しながら毎日3分のホームケア

この3つを続けるだけで、愛犬の関節・筋肉はしなやかさを取り戻し、動作の癖が矯正されやすくなります。
何より“撫でられると気持ちいい”経験が絆を深め、ストレスケアにも一石二鳥です。

ブンちゃんを診て改めて感じたのは、飼い主さんの「おかしいな?」という小さな直感の価値
そして、その直感に応えるべく“優しい整体”を通してサポートする私たちの使命です。

もし、わんちゃんの歩き方や仕草に少しでも気になる点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
「まだ早過ぎるかな?」と思う時こそ、最善のタイミングかもしれません。

あなたと愛犬が、これからも元気に楽しく過ごせますように。
そして、優しいタッチがすべての動物の安心につながる――そんな温かなケアが広がることを願っています。

ご予約・お問い合わせ

犬の整体に興味がある方は、お気軽に当院までご連絡ください。わんちゃんの健康をサポートするために、専門のスタッフが丁寧に対応いたします。

電話でのご予約やお問い合わせは、こちらからどうぞ。わんちゃんの健康を一緒にサポートしていきましょう!
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犬の整体院 わんこ快福クラブ北九州

※本記事は整体師としての臨床経験と一般的な解剖学・行動学知識に基づく見解です。
※獣医師による診断・治療を否定するものではありません。異常が長く続く場合は必ず獣医師の診察を受けてください。