犬のてんかん発作について

犬のてんかん発作について

犬のてんかん発作は、脳内で異常な電気活動が発生することによって引き起こされる神経疾患であり、犬の健康と生活の質に大きな影響を及ぼします。このコラムでは、犬のてんかん発作の特徴や原因、治療法、発作時の対応方法、そして飼い主が心がけるべきポイントについて詳しく解説します。

てんかんの症状

犬のてんかん発作は、発作の前兆、発作そのもの、そして回復期という3つの段階に分けられます。それぞれの段階の特徴を理解することで、早期に対応することが可能になります。

  1. 前兆期(オーラ期):発作が始まる前に、犬は異常な行動を見せることがあります。例えば、急に不安になったり、飼い主にべったりとくっついて離れなかったり、隠れたがることがあります。この段階は数秒から数分間続き、飼い主は犬の様子に注意を払う必要があります。
  2. 発作期(イクトス期):典型的なてんかん発作では、犬は突然倒れて意識を失い、全身の筋肉がけいれんを起こします。具体的には、脚の伸展や収縮、顎の開閉、口からの泡を吹くことが見られます。発作は通常1〜3分間続きますが、長引く場合もあります。発作中の犬は、反応しないため、無理に起こそうとせず見守ることが重要です。
  3. 回復期(ポストイクトル期):発作が終わった後、犬はしばらく混乱した状態に陥ります。視覚や聴覚が一時的に鈍くなることもあります。この回復期には数分から数時間かかることがあり、犬が落ち着くまで静かな環境を提供することが必要です。

てんかんの原因

てんかんの原因は多岐にわたり、正確な診断には獣医師の診察が必要です。以下に主な原因を挙げます。

  • 遺伝的要因:
    いくつかの犬種では、遺伝的にてんかんが発生しやすい傾向があります。代表的な犬種には、ボーダーコリー、ラブラドールレトリバー、ジャーマンシェパード、ビーグル、ゴールデンレトリバーなどが含まれます。これらの犬種は定期的な健康診断を受けることが推奨されます。
  • 脳の損傷:
    頭部への外傷や脳腫瘍、脳炎などが原因で脳に損傷がある場合、てんかん発作が発生することがあります。特に高齢の犬では、脳腫瘍が原因となるケースが多いです。
  • 代謝異常:
    肝疾患や腎不全、低血糖症、電解質異常など、全身の代謝に関連する問題がてんかんの原因となることがあります。これらの問題は血液検査やその他の診断手法を通じて特定されます。

管理と治療

てんかんは治癒することは難しいですが、適切な治療と管理によって発作の頻度と重症度を抑えることが可能です。獣医師と相談しながら以下の治療法を検討します。

  • 薬物療法:
    てんかん発作の頻度を減らすために、抗てんかん薬が処方されます。代表的な薬にはフェノバルビタール、ゾニサミド、ケプラ(レベチラセタム)などがあります。薬の選択は犬の症状や健康状態に基づいて行われ、定期的な血液検査を通じて薬の血中濃度をモニターします。
  • 生活習慣の改善:
    ストレスを減らし、規則正しい生活を送ることで、発作のリスクを低下させることができます。食事はバランスの取れた栄養価の高いものを選び、定期的な運動を取り入れることが推奨されます。
  • ダイエットとサプリメント:
    一部の犬において、特定のダイエットやサプリメントが発作の管理に役立つことがあります。ケトジェニックダイエットやオメガ3脂肪酸のサプリメントなどが注目されています。

発作中の対応

犬のてんかん発作は飼い主にとって非常に心配な状況ですが、適切な対応が必要です。

  • 安全を確保:
    発作中は犬が周囲の物にぶつかって怪我をしないよう、家具や障害物を取り除きます。犬を安全な場所に移動させる際には、優しく対応します。
  • 発作の記録:
    発作の開始時間、持続時間、症状を詳細に記録し、獣医師に報告します。これにより、治療の効果を評価し、今後の治療計画を立てる際の重要な情報となります。
  • 冷静な対応:
    発作中は犬を無理に抑えたり触ったりせず、落ち着いて見守ります。発作が5分以上続く場合や、発作が連続して起こる場合は、緊急の獣医療を受ける必要があります。

飼い主が心がけたいこと

  1. 定期的な獣医訪問:
    てんかんの管理には、獣医師との継続的なコミュニケーションが欠かせません。定期的に健康診断を受け、薬の効果や副作用をモニターし、必要に応じて治療方針を調整します。
  2. 正確な発作記録:
    発作の頻度や持続時間、発作の前兆や後の状態を詳細に記録することで、獣医師はより正確な診断と治療計画を立てることができます。記録は日記やアプリを使用して管理すると便利です。スマホなどで動画を撮っておくと医師への説明に役立ちます。
  3. 安定した生活環境:
    犬の生活環境をできるだけ安定させることが重要です。急激な環境の変化やストレスを避け、落ち着いた日常を維持するよう心がけましょう。例えば、大きな音や新しいペット、家族の増減などは慎重に行いましょう。
  4. 適切な食事と運動:
    バランスの取れた食事と適度な運動は、犬の健康維持に不可欠です。てんかんに効果があるとされる特定の食事(例: ケトジェニックダイエット)については、獣医師と相談の上で実施することが望ましいです。また、ストレスを発散させるために、規則正しい運動を日課に取り入れましょう。
  5. 薬の管理:
    抗てんかん薬を正しく管理し、獣医師の指示に従って適切なタイミングで服用させることが大切です。薬を切らさないようにし、処方に従って服用することが重要です。
  6. ストレスの軽減:
    犬にとってのストレスをできるだけ軽減するために、リラックスできる環境を提供します。静かな場所やお気に入りの毛布、おもちゃを用意するなど、安心できるスペースを整えましょう。
  7. 緊急時の準備:
    発作が起きた場合の対応方法をあらかじめ知識として持っておくことが重要です。発作が5分以上続く場合や、連続発作が起こった場合の対策を準備し、緊急連絡先を手元に置いておきます。
  8. 家族への教育:
    家族全員がてんかんに対する基本的な知識を持ち、発作時に冷静に対応できるように教育しておくことが重要です。特に小さな子供がいる家庭では、犬に優しく接するよう指導することが大切です。
  9. コミュニティのサポートを利用:
    他の飼い主やサポートグループと交流することで、情報や経験を共有し、心の支えを得ることができます。オンラインフォーラムやローカルのペットグループを活用しましょう。

犬のてんかんは適切な管理と治療によって、犬がより快適で幸福な生活を送ることが可能です。飼い主として、犬のてんかんを理解し、適切なケアを提供することで、犬が安心して暮らせるよう支援することが大切です。

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